岩﨑病院について
本院が所在する和歌山県新宮市は、三重県との県境を流れる熊野川の河口にひらけた小都市で、速玉大社、那智大社、本宮大社と共に熊野信仰の地(世界遺産登録)として知られ、古より文化の薫り高き地方として広く知られてきました。町名の三輪崎地区は市の中心部から数キロ離れた場所にあり、万葉集で「苦しくも降り来る雨か 三輪の崎狭野の渡りに家もあらくなに」と詠まれた地です。かつて三輪崎の集落は鯨漁などの漁業が盛んで、地域に伝承されている鯨おどりは県の無形文化財にも指定されています。
万葉の時代には雨宿りをする家もなかった三輪崎の地で千数百年の時を経て、精神科の専門病院を開設したのが昭和35年。行政機関からの強い要請に応える形で紀南地域に初めて精神科病院を開設して60年余が経過しました。新宮市の市街地にはサテライト的役割を担う診療所として「いわさきメンタルヘルスクリニック」を開設しており、患者様の利便性などにも配慮して参りました。岩﨑病院は幾多の変遷を経て現在は精神療養病棟3棟157床の精神科の単科病院として運営をしています。
病院の傍には小川が流れ、季節毎に彩とりどりの姿となる山や草花に囲まれた豊かな大自然の中で患者様はゆっくりと療養することができます。人口減や高齢化、感染など地域の社会環境は変化し続けていますが、当院はこれからも患者様の「心」に寄り添いながら「心ある医療」の提供に努めて参ります。